No.558 (Re:486) 【国土交通省】山形・鳥取・石見空港の羽田発着枠政策コンテスト結果
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2015-12-23 19:04:40  
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省

羽田発着枠政策コンテストに係る各提案者の取組の評価結果を踏まえた羽田発着枠の取扱いについて

                            平成27年12月22日

1.羽田発着枠政策コンテストにおいて羽田発着枠の配分を受けた羽田−山形路線、羽田−鳥取路線、羽田−石見路線に係る取組について、「羽田発着枠政策コンテストにおける取組の評価検証に係る懇談会」(平成27年12月10日)において評価を行ったところ、評価結果は以下のとおりとなりました。

【評価結果】
 ┌────┬────┬────┬────┐
 │    │山形空港│鳥取空港│石見空港│
 ├────┼────┼────┼────┤
 │ A委員 │  A  │  A  │  B  │
 │ B委員 │  A  │  B  │  B  │
 │ C委員 │  A  │  B  │  B  │
 │ D委員 │  A  │  A  │  A  │
 │ E委員 │  A  │  B  │  B  │
 │ F委員 │  A  │  B  │  B  │
 ┣━━━━╋━━━━╋━━━━╋━━━━┫
 ┃総合評価┃  A  ┃  B  ┃  B  ┃
 ┗━━━━┻━━━━┻━━━━┻━━━━┛
  ※A…大変優れている    B…一定の効果が認められる
   C…大幅な改善を要する  D…成果が期待できない

2.これまでの2年間の取組に対する本評価結果を踏まえ、各路線に係る羽田発着枠について、以下のとおり取り扱うこととします。

 【各路線に係る羽田発着枠の取扱】
   羽田−山形路線          延長(平成28年3月27日より3年)
   羽田−鳥取路線          延長(平成28年3月27日より2年)
   羽田−石見路線          延長(平成28年3月27日より2年)


   羽田発着枠政策コンテストに係る各提案者の取組に対する委員コメント

山形空港
○ダイヤの利便性が格段に上がったこと、国内外観光客のインバウンド・アウトバウンドの促進、ビジネス客の囲い込み等のバランスの取れた施策が結果に現れ、2年目も含め利用者数もロードファクターも目標を上回り、山形新幹線と並ぶ首都圏への足が形成されたことは高く評価できる。
○懇談会内での質問「国内旅客のアウトバウンド・インバウンドの割合と各施策の効果との関係」について、明確な回答を得られなかったので、各施策の実効性を明確にするためにも、分析とまとめをしっかりとやっていただきたい。
○海外観光インバウンドは、山形の地域活性化の観点から見れば航空にこだわる必然性はないことから、往路航空・復路新幹線や東京も含めたツアーが有効と考えられる。実際にそのようなツアーはあるとのことなので、催行回数を増やせるようにがんばっていただきたい。
○空港の施設・設備が改善されてきており雰囲気もよくなってきている。しかし、海外インバウンド客を迎える際には、もう少し地元らしい華やかさがほしい。地元ボランティア等を活用した空港での芋煮会や、スキー客を啓翁桜でおもてなしなど、山形の産品を売り込むことにつながるような演出を検討されてはどうだろうか。空港を拠点に、地元住民が遊び心でおもてなしをするようになるのも楽しい雰囲気づくりになる。
○路線搭乗率向上の要諦を地元企業の東京出張需要とターゲットを定め、@スタートダッシュ・キャンペーンによる意識啓発、A@による意識向上後に、競合する交通モードとの競争力の確保(運賃政策)、B需要の安定化の取組み(市町村応援WEEK、サポーターズクラブ、二次交通等)を戦略的に組み立て、パートナーである航空会社とともに着実に実施したことが成功要因である。また、地元と航空会社との連携が良好であり、路線維持のための意識あわせが十分にできている。
○国内外からの観光需要の取り込みが予定されているが、搭乗率が8割を超えてきているので、機材の大型化が実現するまでは、ビジネス需要が優先されるように、頻繁に利用する企業は優先予約ができるなど仕組みを検討されたい。
○2便化の利便性向上を生かして、成果をあげてきている点は高く評価できる。今後は、単なるキャンペーンの成果だけでなく持続的に利用者が増えていくことが求められるため、空港アクセスの改善に向けた取り組みなど、将来につながっていくような取り組みを持続、発展させていくことが望まれる。
○全力で様々な取り組みをされており、その点はきわめて高い評価となっている。しかし、助成策(運賃補助)が効いているという面が大きいと思われ、この継続はもっぱら県政に委ねられる。今後も航空会社と協力してオール山形体制の維持に向けて努力していただきたい。
○山形新幹線という競合相手のいるなかでの旅客数の伸びは特筆に値する。この伸びを維持するために現行施策が機能しているとすれば、その継続を望む。ただ、一部とはいえ運賃助成などによる施策があり(新幹線との競合のための低運賃施策は除く)、こうした施策は予算措置次第ということもあり、継続性という意味では長期的には期待しにくい点もある。今後はこうした運賃助成など頼らないような持続可能な施策の立案を望むものである。
○今後は新幹線との価格競争によるキャンペーン疲れの無いようなイールドマネジメントが求められる。また利便性が向上したことにより、インバウンドの宿泊客が日帰り客にすべて移行し、経済効果が低下する様なことがないような注意が必要である。
○実効性と継続性ともに充実した内容である。特に継続体制が素晴らしく、「コア6連携」は他空港の協議会と類似しているようにも見えるが、官民連携体制が良く取れており、地域活性化にも貢献しているようである。どの点に意識を置いて工夫をしているのか改めて精査し、他空港の参考になるようにモデル性を高めて欲しい。

鳥取空港
○4便から5便化という効果の見えにくい状況の中、明確な目的を持って様々な取り組みを実施しており、各取り組みの効果も明確にしている点は高く評価できる。今後の取り組み予定も課題の解決手段として適切であり、積極的に取り組んでいただきたい。
○移住定住の促進はユニークであり、他の地域でも参考になると考えられることから、例え需要増にすぐに直結せずとも、長い目で続けて欲しい取り組みである。
○「空の駅」化についても、モデル性の高い取り組みに期待する。
○コナンの知名度で空港が有名になることは重要だが、飛行機に乗る人を増やすためには、デスティネーションとしての魅力向上がより重要。この部分について、県の熱意や尽力は伝わってきたが、県と航空会社との協力が見えていないように思われる。
○鳥取空港の愛称化はユニークな取り組みであり、この取り組みを持続し、より大きなものにするための工夫をぜひ、今後も継続していただきたい。
○愛称による効果が大きいと思われる。コナンの人気は継続すると思われるが、それを路線利用の継続と一致するようにご努力いただきたい。また、県からのご意見にもあったが、広域利用につながるよう期待している。
○空港の愛称を「コナン空港」としたことはユニークであり、他の空港も参考にできるよい事例であることは認めるが、この愛称が30年、40年後にどれだけの効果を持つかは疑問である。この愛称は現在でこそ有用であるが、超長期的に見れば40年後の人には「コナン」という言葉がどれほどの意味を持つか明らかでない。超長期的な継続性を考える必要があると思われる。
○簡単には解決できない課題ではあるが、継続性の確保のためには、ビジネス客の掘り起こしに関する取り組みを強化されたい。
○出足が遅いように見えたものの、一定程度の成果が上がっていることは認められる。ただ、ICやバイパスの開通のような他の要因も絡むため、それらを切り分けて分析する必要がある。
○「カニプレゼント」や運賃助成、無料バスなどの施策が目立つが、これらは財源があってこそできるものであるから、これらに依存しすぎることは継続性を危うくする。
○インバウンドに力点が必要。鳥取砂丘コナン空港という愛称化によるメディア効果による集客増には限度があると思われる。また松葉ガニのプレゼントもそれなりの集客増につながるが、毎年繰り返す必要が出てくる。小手先ではなく、イベントも含めた観光資源の発掘・開発とその見せ方(ストーリー性の持たせ方、演出やガイドの工夫等)魅力的な宿泊施設の誘致、時期とターゲットを明確にした広報戦略等通年を通した鳥取の魅力づくり・ブランドづくり、およびマーケティング計画(誘客の仕組みづくり)が今後必要になる。
○継続性の枠組みは十分検討されており、改善点も明示されている。よって、この枠組みを形だけで終わらせず、目に見える形で実行することが重要である。
○多様な関係者をまとめて取り組みを遂行し実績をあげていくためには、実施体制のコアメンバーによる密な情報共有と迅速な意思決定がこれまで以上に重要になると思う。人事異動でのメンバー交代の時期もあろうかと思うので、漏れのない体制づくりをお願いしたい。但馬地域との連携が少し弱いように思うので、よく意思疎通を図って、どこまでならやれるのかを明確にしたほうがよいかと思う。


石見空港
○2便化により航空需要は増加しているが、どの施策が効果的だったのかが判然としない。26年度前半の伸び悩み要因は「周知不足」と結論づけていることから、27年度は周知されたことで着実に増えているとの理解で正しいだろうか。もしそうであれば、周知後の継続性が問題となる。実効性を明確にするためにも、施策と効果の関係を詳細に分析する必要がある。新規利用者と他空港からの切り替えのどちらの需要が増えているのかによって、手を打つべき施策も変わってくる。
○島根県立大学との連携はユニークであり、ぜひ継続していただきたい。こうした活動に地元の学生が取り組むことは、長期的に地域の無形財産となり、地域活性化にもつながるであろう。空港・航空に関する面だけでなく、地域観光の開発などの新しいテーマでも連携することも期待される。
○圏域の市場は17万人ということであれば、首都圏からのインバウンド客を増やすことに注力する必要がある。
○個人比率が増えているということは大変喜ばしいことであるが、個人客と団体客は時期によって使い分ける必要がある。オフシーズンである12、1、2、4月は旅行会社と連携し、団体客誘致のためのプロモーションをし、平準化を図る必要がある。
○大切なのは島根県内の観光のみにこだわらないこと。羽田から広島空港に入って、宮島、広島、萩、津和野、山口宇部空港から羽田へ、といったツアーは良く見かける。松江や宍道湖などは出雲空港から近いため、むしろ山口県の観光地めぐりを中心にしたツアーを開発してはいかがか。場合によっては下関・門司まで含んだツアーにし、山口宇部空港から羽田へ、あるいは新幹線で帰京というツアーも考えられる。
○平成26年目標には少し届かなかったが、後背地の人口が少ない石見空港が大変健闘されていると思う。今後さらに成果を出していくためには、近隣に多くの空港があることを逆手にとって強みを発揮していく観点も重要かと思う。広島、出雲、米子、鳥取等の近隣空港とインアウトをつないでの旅行商品造成に、強かに挑戦していってほしい。石見空港と出雲空港のように航空事業者が異なる場合に団体旅行商品に仕立てるのは難しいが、個人旅行狙いでは可能性がある。NHK大河ドラマや世界遺産活用といった手法は観光振興の王道ではあるが、小規模空港は、個人旅行者をターゲットに大胆な周遊提案、エッジのたった旅行提案等の訴求力の強さで勝負するとことがあってもよいと思う。こういう観点からは、松江市との連携など、県内の他の有力な観光資源との組み合わせがみえてくる。せっかく県主導で行っている取組みであるので、県内観光資源との連携強化が望まれる。
○最近では大河ドラマなどの特殊イベントがあったことが一定の数字を引き出しているという可能性も否定できない。この点を謙虚に考えて、より一層の利用客の増加のために努力することを希望する。
○搭乗促進キャンペーンや様々な空港利用促進策によって、成果が上がってきている点は評価できる。ただ、継続性の確保のためにも、より一層の搭乗者数を増やすための取り組みが期待される。
○地理的に厳しい状況にありながらもある程度の数字を残していることには努力の跡がうかがえる。今後必要であると思われるのは、空港の認知度の向上、冬季利用促進のための戦略構築、ビジネス客の取り込みのために具体的な方策の策定などであろう。
○1便時代から益田市や島根県が航空路線に対する支援を続けておられ、2便化によってそれが結実したという面が大きいと思う。けれども、一面支援内容が補助に偏っているともいえ、今後は首都圏における実需の継続的な掘り起こしとリピーターの確保に努力をしていただきたい。
○航空会社とのリスク分担スキームの意義と効果について、航空会社と県との官民連携を弱める結果につながっている可能性も含め、具体的な検証が必要である。また、リスク分担スキームがなくとも2便化の継続を航空会社も望むような取り組みが必要である。

以上
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