NEWS RELEASE:JR&私鉄    5
No.1804【JR海】リニア用に鉄筋代替のバサルトFRP筋の大量生産に世界初成功
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2025-09-04 02:50:57
                           2025年9月 3日
                           東海旅客鉄道株式会社

   リニア中央新幹線への適用に向けたバサルトFRP筋の開発について

 リニア中央新幹線の構造物では、超電導磁石の力で走行するリニア車両にかかる抵抗を小さくするため、磁界の影響を受けにくい特性を有する鉄筋(以下、「低磁性鉄筋」)を用いています。
 このたび当社は、低磁性鉄筋の一部を代替し得る材料である「バサルトFRP(Fiber Reinforced Polymer)筋」の大量生産を可能とする世界初の技術を開発しました。

1.概要(別紙)
・開発したバサルトFRP筋は、玄武岩を原料としたバサルト繊維を用いて作られる材料です。鉄筋と比較して、磁界の影響を受けない(非磁性)うえに、電気を通さない(絶縁性)、腐食しない(非腐食性)、軽量(重量:約1/5)、高強度(降伏強度:約3倍)、といった特長を有しています。

・バサルトFRP筋では、一般的に熱硬化性樹脂※1が用いられており、鉄筋と同等以上の強度で様々な太さの製造が可能でしたが、製造に長時間を要し、高コストである点がリニア中央新幹線への適用に向けた課題でした。一方、熱可塑性樹脂※2が用いられる方法もあり、短時間での製造が可能でしたが、鉄筋と同程度の太径化が課題でした。そこで今回、製造方法を改良し、熱可塑性樹脂を用いて短時間で様々な太さ(直径5〜32o)のバサルトFRP筋を大量に生産できる世界初の技術を開発しました。

・2021年から小牧研究施設と山梨リニア実験線で実証試験を行い、強度、品質などについて十分な性能を確認しました。

※1:熱硬化性樹脂:加熱により硬化し、一度硬化すると再加熱しても軟化しない樹脂。
※2:熱可塑性樹脂:加熱により軟化し、冷却すると硬化する樹脂。加熱で再成形可能。

2.導入効果
・非磁性及び絶縁性であるため、リニア車両が走行する際の抵抗が抑えられ、電力消費量の低減に寄与します。
・非腐食性であるため、コンクリート構造物の耐久性が向上し、維持管理の省人化・省力化に寄与します。
・鉄筋と比較して軽量であるため、施工性の向上が期待できます。
・大量生産を可能とする技術を確立したため、製造コストの低減が期待できます。

3.今後の予定
・リニア中央新幹線の営業線における走行路等の一部構造物への適用に向けて、引き続き山梨リニア実験線区間で施工性等を確認するための試験施工を実施します。
・非腐食性という特長を生かし、特に塩害の影響を受けやすい東海道新幹線の浜名橋りょう橋脚のひび割れ防止工へ適用していきます。
バサルトFRP筋の概要
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