| ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2025-12-17 02:05:25 |
[出典:国土交通省ホームページ] 国土交通省 Press Release Ministry of Land,Infrastructure,Transport and Tourism 令和7年12月16日 総合政策局運輸審議会審理室 「西日本鉄道株式会社からの鉄道の旅客運賃の 上限変更認可申請事案」に関する答申について 運輸審議会は、標記事案について申請どおり認可することが適当である旨、本日、国土交通大臣に対して答申しました。 令和7年9月24日付けで国土交通大臣臨時代理国務大臣から運輸審議会に対し諮問がありました標記事案について、審議の結果、申請どおり認可することが適当であるとの結論に達し、本日、国土交通大臣に対して答申しました(事案・答申の内容は別紙のとおりです)。 審議における配付資料及び議事概要は以下のURLで後日公表予定です。 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/unyu00_sg_000021.html ○運輸審議会について 運輸審議会は国家行政組織法第8条に規定する審議会で、個別法の規定に基づき、国土交通大臣の行う許認可等の個々の行政処分等の適否について諮問を受け、これに対して、公平な立場から各方面の意見を汲み上げ、公平かつ合理的な決定を行う常設の機関です。 当該事案については今後、国土交通大臣が運輸審議会の答申内容等を踏まえて処分を行う見込みです。 別紙 【申請者】西日本鉄道株式会社 【事案の種類】鉄道の旅客運賃の上限変更認可 【事案の概要】 ○改定率(平均支払い運賃額の増加率) ┌────┬─────┬────────────────┐ │ │ 改定率 │ 内訳 │ ├────┼─────┼────────────────┤ │普通運賃│11.1%│ │ ├────┼─────┼────────────────┤ │定期運賃│14.6%│通勤:15.6% 通学:9.0%│ ├────┼─────┼────────────────┤ │全 体│12.4%│ │ └────┴─────┴────────────────┘ ※鉄道駅バリアフリー料金は、運賃改定にあわせ廃止することとしておりますが、上記は現在の鉄道駅バリアフリー料金加算後の運賃との改定率です。 ※なお、鉄道駅バリアフリー料金を除いた改定率については、普通運賃14.6%、定期運賃17.6%(通勤:19.2%通学:9.0%)、全体15.7% 【運輸審議会答申】申請どおり認可することが適当 国 運 審 第17号 令和7年12月16日 国土交通大臣 金子 恭之 殿 運輸審議会会長 堀川 義弘 答 申 書 西日本鉄道株式会社から の鉄道の旅客運賃の上限変更認可申請について 令7第 4003号 令和7年9月 24日付け国鉄事第332号をもって諮問された上記の事案については、令和7年11月20日福岡県において公聴会を開催し、審議した結果、次のとおり答申する。 主 文 西日本鉄道株式会社からの申請に係る鉄道の旅客運賃の変更については、別紙に掲げる額を上限として認可することが適当である。 理 由 1.申請者は、旅客営業キロ106.1km、駅数73駅から構成される天神大牟田線及び貝塚線を運行し、福岡県の福岡・筑後地域における通勤・通学等の輸送を担う鉄道事業者である。 輸送人員は、少子高齢化の進展、道路網の整備等を背景に長期的な減少傾向にあり、直近の実績(令和6年度 1.0億人)はピーク時(平成4年度 1.4億人)に比べて約3割減少している。営業収益も同様に長期的な減少傾向にあり、直近の実績(令和6年度 236億円)はピーク時(平成10年度 264億円)に比べ約1割減少している。こうした状況を受けて、施設・車両・駅務部門の外注化、運行のワンマン化、駅の集中管理化をはじめとする経費削減、安全確保のために必要不可欠なものを除いた可能な限りの設備投資抑制等の経営努力を続け、前回運賃改定を行った平成9年7月から現在までの約30年間、消費税率の引上げによるものを除き運賃改定を行わず現行運賃を維持してきたところである。 近年の情勢としては、平成23年度頃から福岡都市圏の人口増や訪日外国人旅行者数の増加などによる輸送人員の下げ止まりが見られたものの、令和元年度末から拡大したコロナ禍により輸送人員が大きく落ち込み、令和2年度には約9億円の営業損失を計上した。その後の輸送需要は回復傾向にあるものの、新しい生活様式の定着に伴い、直近令和6年度の輸送人員は令和元年度を下回っているほか、申請者によれば、将来的にもコロナ禍前の水準には戻らないことが見込まれている。 一方、耐震補強や法面強化など線路・土木構造物の安全性向上、ATSシステムや変電所など大型基盤施設の更新、新造や改造による車両の置換え、駅施設の改修・改良等、安全確保やサービス向上のための必要な設備投資をこれ以上先送りすることは難しく、さらに、バリアフリー設備の整備、環境対策等も引き続き推進する必要があり、これら設備投資の拡大により減価償却費が増加することが見込まれる。さらに、人材確保のため処遇改善や職場環境整備の経費が必要となるほか、物価高騰等の影響により様々な経費が増大することが見込まれる。 申請者においては、こうした状況の下、鉄道事業を安定的かつ継続的に運営し、公共交通機関としての使命を果たしていくため、申請者の経営努力を前提とした上で、不足する費用の一部について利用者に負担を求めるべく旅客運賃の上限変更に係る認可を申請したものである。 2.国土交通大臣は、鉄道運送事業者からの旅客運賃の上限変更の認可申請があった際には、鉄道事業法(以下「法」という。)第 16条第2項に基づき、当該旅客運賃の上限による総収入が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであることを確認の上、同条第1項の認可をするものとされている。 3.当審議会は、本事案の審議に当たり、公聴会を開催して申請者の陳述及び一般公述人の公述を聴取したほか、現地視察、当審議会に提出された資料、所管局から聴取した説明等に基づいて、申請理由等について確認するとともに検討を行った。 本事案の審議等で確認した主な事項については、以下のとおりである。 まず、輸送人員の推計については、平年度(原価計算期間である令和8年度から令和 10年度までの3年間をいう。以下同じ。)において、定期外については微増、定期については微増から横ばいであるものの長期的には減少が見込まれるという見通しが一定の合理性を有することを、これまでの輸送実績や統計調査等のデータに基づき確認した。 収入については、JR旅客会社、大手民鉄及び地下鉄事業者の収入原価算定要領(平成 12年3月1日鉄業第 10号)に基づいて、前述の推計した輸送人員に今般申請のあった改定後の運賃を乗じると、平年度の年平均が、令和6年度実績に比べて約34億円増加すると見込まれることを確認した。 設備投資については、例えば変電所の稼働年数が100年超、貝塚線で運用されている車両の平均車齢が 60年超と施設・設備の老朽化が進んでいること、ATSシステムの導入から 50年以上が経過し部品の調達困難や機器の生産中止が発生していること等、これ以上の抑制・先送りが困難であることを確認した。また、減価償却費について、設備投資の拡大に伴い平年度の年平均が約 52億円と令和6年度実績に比べて約7億円増加し、その後も高い水準で推移すると見込まれることを確認した。 さらに、処遇改善の必要や物価高騰等を背景に人件費、電気動力費など事業運営に必要な各種経費の増大が見込まれ、減価償却費以外の原価について、平年度の年平均が約 222億円と令和6年度実績に比べて約 31億円増加すると見込まれることを確認した。 この結果、旅客運賃の上限を主文のとおり設定した場合、平年度の運賃算定の基礎となる適正な総括原価(能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの)は、82,342百万円、総収入は81,336百万円と推定され、差引き 1,005百万円の不足を生ずるものと見込まれる。 4.以上のように、旅客運賃の上限による総収入は、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものである。そのため、本事案に係る申請について、法第 16条第2項の認可基準に適合するものとして、同条第1項に基づき国土交通大臣が認可することは適当であると認める。 要望事項 西日本鉄道株式会社の業績が黒字であること等を踏まえ、同社において、今般の運賃改定が、同社の鉄道事業を持続的に運営し、公共交通機関としての役割を果たしていくために必要であることや、サービスの向上等にも資することについて、利用者に対し丁寧に説明するよう、必要な指導、助言を行っていただきたい。 (別紙) *伊藤注:添付画像をご覧下さい。 |
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