ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2025-08-23 04:22:47 |
2025年8月22日
東海旅客鉄道株式会社 東海道新幹線米原駅〜岐阜羽島駅間での車両床下機器発煙事象について 2025年8月15日に東海道新幹線米原駅〜岐阜羽島駅間で発生した車両床下機器から発煙した事象について、ご心配とご迷惑をお掛けしました。現在までの調査で判明した事実、推定原因及び暫定対策をお知らせいたします。 1.発生日時 2025年8月15日(金)21時47分頃 2.発生場所 東海道新幹線 米原駅〜岐阜羽島駅間 3.概 況 ・21時47分、米原駅〜岐阜羽島駅間を走行中のこだま764号(J52編成:JR東海所属・N700S)の運転士から、運転台の画面で車両床下機器の異常を知らせる表示を確認した、と指令に報告がありました。 ・並行して、車掌から、車内で異臭と煙が発生しているとの報告があったことから、指令で対応を協議し、到着間近の岐阜羽島駅の0番線で車両確認を行うことにしました。 ・21時55分、同こだま号が岐阜羽島駅に到着した際、駅係員が9号車の床下から発煙を認めたため、乗務員と駅係員の誘導により、全てのお客様に車外へ避難していただきました。 ・同こだま号は岐阜羽島駅〜静岡駅間を運休とし、ご乗車のお客様は後続ののぞみ64号にお乗り換えいただきました。 4.調査状況 ・9号車床下にある主変換装置(モーター出力を調整する機器)が焦損していたほか、11号車床下にある主変圧器(パンタグラフから供給された電気の電圧を変更する機器)が損傷していました。 ・車両の動作データを分析した結果、9号車主変換装置内のパワーユニット(モーター出力を調整する電気回路を構成する機器)が故障したことに加えて、遮断器(パワーユニットへ供給する電気の入切を担い、過大な電気が流れた時など異常時には保護動作を行う機器)の保護動作が機能せず電気を遮断できなかったことがわかりました。このタイプの遮断器の故障は今回が初めてです。 ・また、今回、故障が発生したパワーユニットについては、本事象発生の直前に製造メーカーによる修理を受けていましたが、その修理後、当該列車に搭載し、初めて営業列車として新大阪駅から走行していたところでした。 ・遮断器については、過去に、主変換装置の異常を察知した際に、過大な電気を遮断(保護動作)した履歴がありました。 5.推定原因 ・発煙に至った原因として、9号車の主変換装置内のパワーユニットの故障と遮断器の故障という2つの不具合が重なり、主変換装置および主変圧器に過大な電気が流れ続けた結果、機器類が損傷し、温度が上昇した主変換装置内から発煙したものと推定しています。 ・今後、不具合を起こしていた機器類を中心に詳細な調査を行います。あわせて、製造メーカーとともに故障の原因等の詳細な調査を行います。 6.暫定対策 今回の事象は、装置の設計上の問題ではなく、修理直後のパワーユニットの故障と、遮断器の故障という2つの非常にまれな不具合が重なって発生した事象であり、同種事象が発生する可能性は極めて低いものと考えていますが、更なる安全のため以下の対策を実施します。なお、以下の対策を実施した場合でも、列車運行に影響はありません。 (1)異常が発生した際の対応 ・走行中にパワーユニットに異常が発生した際には、遮断器の作動の有無に関わらず、運転士が運転台での操作により真空遮断器(パンタグラフから供給された電気を遮断する機器)を取り扱って当該車両に電気が流れないように処置することを8月19日から開始しています。 (2)機器への対応 ・直近で本事象と同じメーカーの修理を受けたパワーユニットを積んだ主変換装置1台の交換を行います。また、過去に保護動作をした履歴のある遮断器23台の交換を進めます。 ・これらの交換作業は8月20日から順次実施しています。 ・なお、これらの交換が完了するまでの間、念のため、交換対象となる機器を積んだ主変換装置を電気的に切り離す処置を8月20日に実施し、現在はパワーユニットに電気が流れない状態で走行しています。 |
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ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2025-09-20 02:31:05 |
2025年9月17日
東海旅客鉄道株式会社 東海道新幹線 米原駅〜岐阜羽島駅間で発生した 車両床下機器発煙事象の原因と対策について 2025年8月15日に東海道新幹線米原駅〜岐阜羽島駅間で発生した車両床下機器からの発煙事象について、ご心配とご迷惑をお掛けしました。関係メーカー、公益財団法人鉄道総合技術研究所とともに実施した詳細調査にて判明した事実、原因および再発防止対策をお知らせいたします。 1.事象概要(2025年8月22日にお知らせした内容) 9号車床下にある主変換装置(モーター出力を調整する機器)内のパワーユニット(モーター出力を調整する電気回路を構成する機器)の故障と遮断器(パワーユニットへ供給する電気の入切を担い、過大な電気が流れた時など異常時には保護動作を行う機器)の故障という2つの不具合が重なり、主変換装置および主変圧器(パンタグラフから供給された電気の電圧を変更する機器)に過大な電気が流れ続けた結果、機器類が損傷し、温度が上昇した主変換装置内から発煙しました。今回故障した機器については以下のことが分かっております。 ・パワーユニットは、本事象発生の直前にメーカーによる修理を実施しており、その修理後初めて営業列車として走行していました。 ・遮断器は、過去に、主変換装置の異常を察知した際、過大な電気を遮断していました。 2.調査結果 (1)パワーユニットの調査結果 ・解体調査を実施した結果、コンバータ部(交流を直流に変換する部位)を中心に大きな損傷が認められました。 ・当該パワーユニットは本事象発生前にも過大な電気が流れる故障が発生し、メーカーで修理を実施していました。このとき、メーカーは明らかに状態の悪い部品は交換していましたが、発煙の起点となった部品は過大な電気が流れていたものの性能には問題がないと判断し、当該の部品交換を行っていなかったことが分かりました。 ・また、当該メーカーでは、修理結果の確認方法が通電確認のみの簡易な出荷試験に留まっていたことが分かりました。 ・以上のことから、簡易な出荷試験では、過大な電気が流れたことのある部品の健全性を確認するには不十分であったと考えられます。 (2)遮断器の調査結果(別紙1) ・遮断器の接点には溶着が認められ、溶着部周囲には凸部が形成された痕跡がありました。この凸部は、今回の事象によるものではなく、過去に過大な電気を遮断した際に形成されたものと考えられます。 ・また、遮断器内部の接点を密着させるばね(以下「接点密着ばね」という)のばね力が、メーカーが独自で定める値よりも低いことが分かりました。 3.原因 本事象は既報のとおり、修理直後のパワーユニットの故障と遮断器の故障という2つの不具合が重なった事象ですが、それぞれが発生した原因は以下のとおりです。 (1)パワーユニットがメーカーによる修理直後に故障した原因 当該メーカーの修理方法や過去に過大な電気が流れたことのある部品の健全性確認が不十分であったため。 (2)遮断器が故障した原因(別紙2) 当該遮断器にパワーユニット故障による過大な電気が流れた際に、接点の凸部間でアークが発生して溶着したため。これは、接点に凸部が形成されていたことと、接点密着ばねのばね力が低かったことによるものと考えられます。 4.本事象に対する再発防止対策 今回の調査により明らかになった原因に対して、恒久対策として次の措置を実施します。 (1)パワーユニット故障後のメーカーによる修理方法および出荷試験方法を見直します。具体的には、部品単体で新製時と同等の性能を保持していないものは全て取り換えることとし、また出荷時には駆動試験(パワーユニットに負荷をかけて性能を確認する試験)を行います。 (2)遮断器の接点に凸部がある状態での使用を防ぐため、今後、遮断器で過大な電気を遮断した場合には、遮断器の交換を行います。また、接点に凸部が発生しても溶着することを防ぐため、メーカー製造時にばね力の全数管理を行います。 |
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