NEWS RELEASE:JR&私鉄    5
No.2761 【国土交通省】第25回「日本鉄道賞」はJR九州『つばめの大冒険』
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2026-09-19 04:05:02
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省                         Press Release
Ministry of Land,Infrastructure,Transport and Tourism

                            令和8年9月18日
                            鉄   道   局
                            鉄道サービス政策室

    第25回「日本鉄道賞」の受賞者が決定しました!


【日本鉄道大賞】
○九州旅客鉄道株式会社
 『つばめの大冒険〜九州新幹線全線開業15周年プロジェクト〜』

【日本鉄道賞表彰選考委員会による特別賞】
○東日本旅客鉄道株式会社
 『営業列車を活用した短時間でのデジタル空間上での点検手法の構築』
○IRいしかわ鉄道株式会社
 『「子育て応援スマイルきっぷ」をはじめとしたなかなかいいね!と言われる鉄道会社を目指す取り組み』
○東日本旅客鉄道株式会社、株式会社ジェイアール東日本物流
 『はこビュン 荷物専用新幹線による大口荷物輸送サービスについて』


 「日本鉄道賞」は、「鉄道の日」創設の趣旨である鉄道に対する国民の理解と関心を深め、国民の強力な支持を得るとともに、鉄道の一層の発展を期することを目的としており、鉄道に関する優れた取り組みに対して表彰するものです。

【選考の方法】
 日本鉄道賞表彰選考委員会において、全応募案件について、応募者よりオンラインでヒアリングを行い、各委員が評価の上、議論・選考し、受賞者が決定されました。選考理由については別紙をご参照下さい。

【日本鉄道賞表彰選考委員会委員】(50音順 敬称略)
 委員長 加 藤 浩 徳 (東京大学大学院工学系研究科教授)
     小 倉 沙 耶 (一般社団法人交通環境整備ネットワーク審議役)
     須 田 昌 弥 (青山学院大学経済学部教授)
     長 根 広 和 (日本鉄道写真作家協会会長)
     藤 井 聡 太 (公益社団法人日本将棋連盟 / 棋士)
     藤 田 大 介 (日本テレビ放送網株式会社 / アナウンサー)
     道 辻 洋 平 (茨城大学学術研究院応用理工学野教授)
     山 口 昌 彦 (株式会社交通新聞社 月刊「旅の手帖」編集長)
     岡 野 まさ子 (国土交通省鉄道局長)


【日本鉄道大賞】            (別紙)

◎九州旅客鉄道株式会社
 『つばめの大冒険〜九州新幹線全線開業15周年プロジェクト〜』


(施策内容)
 「つばめの大冒険」は、九州新幹線全線開業15周年を記念して実施したプロジェクトです。
 15年間にわたり九州新幹線をご利用いただいたお客さまや沿線地域の皆さまへの感謝を届けるため、2016年の熊本地震で被災し営業運転を終えた800系新幹線「つばめ」を復活させました。海路・陸路で九州各地を巡る“感謝の旅”を通じて、多くの皆さまにご参加いただきながら、鉄道がつなぐ地域との絆と九州の元気を広く発信しました。
 また、沿線地域の皆さまや自治体、企業と連携した参加型企画や情報発信を展開し、鉄道を核とした地域とのつながりを深めるとともに、感謝の思いと九州の魅力を世界へ発信しました。

(選考理由)
 2011年3月12日に全線開業し、九州をひとつにつないだ九州新幹線。その15周年を記念し、JR九州が感謝の思いを800系に乗せて、海路と陸路で九州各地を巡らせたこの壮大なプロジェクトは、多くの人々の心を躍らせ、胸を熱くしました。使用された800系は、2016年の熊本地震で被災し、約10年にわたり熊本総合車両所で眠っていた車両です。これを点検、修復、再塗装によってよみがえらせ、鉄路を走れない車両が博多を目指すという前代未聞の発想には、ただただ脱帽するほかありません。さらに車両を擬人化したことで、多くの人々が自然に感情移入し、この旅をわがことのように見守りました。熊本港の出航から各地を巡り、博多駅でのイベントを含めると、10万人近い人々が“つばめ”と出会いました。さらにSNSでも250万インプレッションを超える大きな反響を呼びました。地域を走る鉄道というインフラは、単なる移動手段ではなく、人と人を結び、心と心をつなぐ愛しい存在であることを、このプロジェクトは改めて気づかせてくれたと思います。
 プロジェクト終了後の7月28日、熊本に再び大きな地震が発生しました。犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。九州新幹線も甚大な被害を受けましたが、1日も早い復旧に向け懸命な工事が進められました。
 このプロジェクトにて「僕は、世界一しあわせな新幹線だ。」と語った“つばめ”の冒険が再び歩みだしたことにも深い意義を感じ、ここに日本鉄道大賞を授与します。


【日本鉄道賞表彰選考委員会による特別賞
 『安全点検イノベーション』特別賞】

◎東日本旅客鉄道株式会社
 『営業列車を活用した短時間でのデジタル空間上での点検手法の構築』


(施策内容)
 営業列車に搭載可能な装置・取付治具を開発し、走行しながら線路や電車線などの鉄道設備の画像・3次元の点群データを取得できるようにしました。取得したデータを活用し、列車と設備、列車同士の必要な離隔が確保されていることをデジタル空間上で確認しています。
 今後は設計や施工管理にも活用を広げ、業務の省力化と生産性向上を図るとともに、鉄道業界全体のDX推進に寄与していきます。

(選考理由)
 去年、国から全国の鉄道事業者に対し、車両接触限界などに関する緊急点検の指示が出されました。これに対し、短期間で現場の発想と実行力で応えたのが本技術です。専用列車を必要とせず、日中走る営業列車の運転席の窓に小型機器を取り付けるだけで、接触限界をパソコン上に再現し点検できる画期的な仕組みを構築しました。
 この機器は元々、架線設備の点検を目的に開発中だったということですが、線路に向けるひらめきから即座に改良し、関係部署やパートナー会社と共に、わずか1ヶ月で実用化させました。発案から実装までのスピード感に頭が下がります。これにより、危険な夜間徒歩点検を不要にして作業人員を半減させ、導入コストも従来の専用車両と比較して、約100分の1に抑えました。さらに今後、赤字や人手不足に悩む地方鉄道への横展開を見据えている点は、業界全体の課題に応えるものであり、業務改革の基盤として非常に高い将来性を秘めています。
 現場の知恵で、革新的な技術を導入し、持続可能な鉄道保守の可能性を切り拓いた功績を称え、ここに『安全点検イノベーション』特別賞を授与します。


【日本鉄道賞表彰選考委員会による特別賞
 『子育て応援への取り組み』特別賞】

◎IRいしかわ鉄道株式会社
 『「子育て応援スマイルきっぷ」をはじめとしたなかなかいいね!と言われる鉄道
会社を目指す取り組み』


(施策内容)
 子育て世帯の経済的負担を軽減し、家族で気軽にお出かけできるよう「子育て応援スマイルきっぷ」を導入。小学生に加え、中学生や同伴する大人も利用しやすい料金とし、子育て世帯全体を応援しています。
 また、快速列車の運行により金沢への通勤時間を短縮するなど、沿線での暮らしやすさも向上。鉄道の力で子育てしやすく、暮らしやすい地域づくりに貢献し、「なかなかいいね!」と言われる鉄道会社を目指しています。

(選考理由)
 少子化が進む日本において、「子育て支援」は大きな社会的課題です。それは大都市圏だけでなく、人口流出が進む地方都市圏においてこそ切実です。IRいしかわ鉄道は、この問題に対して「家族で気軽に外出できる機会を提供したい」という、他社とは一味違う観点から検討を始めました。子育て「支援」ではなく「応援」であるところにその自負がうかがえます。こども運賃を下げるという取り組みは近年各社で実施されていますが、子供(小学生)だけでなく(運賃制度上は)大人である中学生、そして子供と一緒に乗車する親の運賃も格安にしたのです。全線乗り放題で小学生は200円、大人でも800円という設定で採算が取れるのだろうかと心配になりますが、今のところ運賃収入はむしろ増えているとのことです。
 先行事例で利用されたICカードではなく、安価かつ迅速に導入可能な「フリー切符」の形にするなど、背伸びせず、それでいて沿線利用者のニーズをとらえた点など、「なかなか」、いやかなりいい取り組みではないでしょうか。このような一連の取り組みが今後も継続されることを期待しつつ、ここに『子育て応援への取り組み』特別賞を授与します。


【日本鉄道賞表彰選考委員会による特別賞
  『専用車両化で切り拓く新幹線物流』特別賞】

◎東日本旅客鉄道株式会社、株式会社ジェイアール東日本物流
 『はこビュン 荷物専用新幹線による大口荷物輸送サービスについて』


(施策内容)
 物流業界の人手不足問題やCO2排出量削減、また地方創生などの社会課題解決の実現に向け、E3系新幹線1編成の全号車を荷物専用車両に改造し、2026年3月からサービスを開始しました。
 外観には代表的な輸送商材の他、沿線各地の特産品などをデザインし、新幹線ネットワークにより地域の魅力が結ばれ、広がっていく様子を表現しています。
 また、車両基地の活用により、お客さまとの接触を避けることによる安全確保と荷役作業の効率化を実現しています。

(選考理由)
 はこビュンは、2023年からの新幹線を活用した大口輸送トライアルと、2025年4月の「はやぶさ」号一部客室での輸送事業化を経て、2026年3月にはE3系1編成7両すべての座席を撤去し床面をフラット化、荷物棚にラッシングベルトを取り付け、床には凹型レールと鉄板・滑り止め加工まで施すという、後戻りを前提としない大がかりな改造に踏み切りました。一部客室を間借りする形から車両まるごとを荷物専用に仕立てる決断へ。トライアルを重ねてたどり着いたこの選択の規模と本気度に敬意を表します。
 加えて、車両基地内ではAGV(無人搬送車)が複数のカゴ台車を自動搬送し、省力化と働き方改革を同時に実現している点も高く評価できます。一方で、利用状況としてはまだ伸び代がある状況と聞きます。専用車両化に踏み出したこの一歩を、いかに安定した荷量の獲得と収益の向上につなげていくか。その挑戦の続きを見届けたいという思いを込めて、ここに『専用車両化で切り拓く新幹線物流』特別賞を授与します。
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