海外の鉄道ファンへ伝えたい 熱い思い
 
(Original Japanese text of the "Passionate Message to Railway Fans Overseas")
 
 
■ 和久田康雄さんの画期的著作「私鉄史研究」
 
和久田康雄(わくだやすお 1934.03.01 宇都宮生まれ~2017.04.13 ご逝去83歳)さんは鉄道史研究家であり、特に全私鉄事業者の歴史を、初めて体系的に明らかにしたことで、その著書は、私鉄史愛好家のバイブルとなっています。
 
和久田康雄著『資料・日本の私鉄』(1968年刊)の「あとがき」の一番最初には、「著者が東京大学図書館で戦前の鉄道統計資料をみて、これが私鉄史の研究にとって重要な基礎資料であることに気付き、そのノートを作りはじめたのは、著者らが東京大学鉄道研究会を結成した1955年のことであった。それ以後、運輸省図書館および国鉄本社の鉄道図書室の所蔵するものとあわせて、年度別に70冊をこえる一連の資料から、明治以来の私鉄全事業者の開業・廃止・合併・譲渡・区間距離・車両数を各事業者ごとに整理しつつ筆写し終るまでに、前後約10年を要した。その間、車両の認可関係も運輸省の書類により書き加える等、著者の20歳代における余暇の大部分はこの私鉄ノート作成のために費されたということができる。本書は、このノートに基づき、過去にわが国に存在した全私鉄を動力軌間別・都道府県別等に整理して表の形で示すことを主眼とし、これに動力軌間別の発達概史を付けたものである。」と記されています。
 
和久田康雄さんは、この綿密な調査を元に、31歳の1965年から、株式会社電気車研究会(東京都千代田区)の月刊鉄道雑誌「鉄道ピクトリアル」誌上に、「資料・日本の私鉄」と題して、連載を開始しました。
   ※1965.05通巻170号~1968.06通巻210号に、断続的に20回連載
 
過去に存在した私鉄すべてを、グラフ(写真)付きで、動力や軌間別に分けて、それぞれの性格と、誕生~分布~消滅に至るまでの歴史的背景を論じ、軌道・鉄道別、かつ軌間別に表にまとめたもので、1馬車軌道、2人車軌道、3蒸気軌道および内燃軌道、4電気軌道、5蒸気鉄道、6内燃鉄道、7電気鉄道、8特殊鉄道 の構成でした。
 
和久田康雄さんは併行して、Ⅰ都道府県別私鉄分布表、Ⅱ年度別私鉄増減表(鉄道・軌道)、Ⅲ50音順私鉄名称索引、Ⅳ地方別私鉄路線図、Ⅴ日本の私鉄参考文献 を執筆し、連載した内容を「第1部」として前半に据え、追加執筆を「第2部」として後半に置いた、単行本『資料・日本の私鉄』が、鉄道図書刊行会(電気車研究会と実質同一会社)から発行されました。1968.06.25初版で、内容的には、1967年度末(1968.03.31)現在の記述でした。
 
この単行本の巻頭、グラフ頁トップの真ん中の写真は、「松山人車軌道」の人車を押すまねをする、真面目な顔をした若き日の和久田さん(当時34歳)で、キャプションに曰く「この軌道は宮城県にあった かたわらに立つは著者 交通博物館 1968.4.28 和久田喜久子撮影」。「あとがき」の一番末尾の、「本書が日の目をみるに至ったのは、・・・家族の激励があったからにほかならない。」とある、奥さんその人ですね。
 
特筆すべきは、この単行本『資料・日本の私鉄』「第2部」において、各私鉄を都道府県別に配列し、4桁固定の事業者整理番号を付けたことです。
上1桁目は当時の9陸運局(現運輸局)の管轄区域を北から南へ1~9とし、上2桁目は各陸運局内の都府県を北から南へ1からの追番(北海道は0。10北海道、21青森県、・・・、98沖縄県となる)とするルール。
下2桁は同一都道府県を起点とする私鉄を開業順に、鉄道を01から、軌道を51から付番します。このため、鉄道と軌道と両方ある私鉄は2つの番号を持ち、さらに同一時期の同一事業者で、路線網が離れていたり出自が異なるケースでは、別事業者整理番号(以下「社番」)を付与されている場合もあります。
   ※1968.06.25には「JIS市区町村コード」は存在せず(1968.12.01制定)、陸運局の管轄区域による付番以外に選択肢は無かったのです
   ※社番上2桁(和久田番上2桁)と、JIS県コード(北から南へ01~47の2桁固定)との比較については、「運輸局(「和久田番上2桁」の由来)」を参照
 
この『資料・日本の私鉄』は、初の総括的な私鉄史ガイドブックとして好評を博し、以下のように改版を重ね、和久田康雄さん80歳発刊の⑦へとつづきました。
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①34歳 資料・日本の私鉄=昭和43年6月25日 初版発行  定価600円  鉄道図書刊行会
②38歳 新版資料・日本の私鉄=昭和47年6月20日 再版  定価1,250円  鉄道図書刊行会
      ※「四訂版・資料・日本の私鉄」の奥付に「昭和47年12月25日 第2版」とあるは誤植
③42歳 改訂新版・資料・日本の私鉄=昭和51年12月25日 3版  定価1,800円  鉄道図書刊行会
④50歳 四訂版・資料・日本の私鉄=昭和59年12月20日 第4版  定価3,200円  鉄道図書刊行会
⑤59歳 私鉄史ハンドブック=1993年12月1日 第1刷発行  定価2600円(本体2524円)  株式会社電気車研究会
⑥61歳 私鉄史ハンドブック=1995年12月20日 第2刷発行  定価2600円(本体2524円)  株式会社電気車研究会
⑦80歳 鉄道ファンのための私鉄史研究資料=2014年4月25日 第1刷発行  定価2685円+税  株式会社電気車研究会
      ※⑦の英題 "HANDBOOK FOR PRIVATE RAILWAY HISTORY STUDIES -1882 to 2012-"
       ISBN 978-4-88548-124-6 C3065 \2685E  http://tetsupic.com
       ⑦を、以下「和久田本」と略記します
      ※鉄道ピクトリアル(株式会社電気車研究会)のHP  http://tetsupic.com
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和久田康雄さんは海外の鉄道ファンとも交流されており、和久田康雄さんの著作には、英語の説明や索引が付いていることが多いです。
その配慮は、はるばる日本の私鉄を訪れる海外の鉄道ファンにとって、簡にして要を得た情報となっています。
 
 
■ 編者(益田彰久・石野 哲)からのコメント
 
さて、順序が逆になりましたが、本HPの編者である、益田彰久(ますだ あきひさ)と石野 哲(いしの てつ)のふたりが、なぜこの鉄道データを公開するに至ったかを、説明したいと思います。
 
「和久田本」は、路線の変遷については、大都市路面電車を除いて区間ごとの改廃日とキロ数の記載がありますが、駅の変遷については「路線一覧」に出て来る駅名の、旧新駅名の併記にとどまり、その駅名の改称日記載はありません。
国有鉄道がらみの駅名については、『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』(1998年JTB 石野 哲編集)がありますが、この「私鉄編」は、まだどこからも発刊されていません。
 
幸いなことに、2020年正月の益田彰久さんから小生への賀状により、全私鉄駅名の改廃について、大都市路面電車も含めた膨大なデータベースを作成中であることがわかりました。
この年2020年7月23日、西武鉄道京成電鉄東京地下鉄東急電鉄まで完了したということで、12万7626行の"DB of Rail&Station ver1.2.TXT"をはじめていただき、これより、益田さん駅データのチェックに協力するようになりました。
 
ことし2025年の正月、日本国有鉄道発足の1949.06.01以降の私鉄については、一応入力を終えたと益田さんから連絡があったので、試しに「1987年4月1日」を指定してデータを切り出し、「私鉄停車場一覧」の形に加工したPDFを作成し益田さんに送ったのが2025.02.08(土)。
そうすると、「やはり形になると感動がありますね。」とのお返事。
 
その後のメールのやりとりで、このPDFをWeb上に公開すれば、私鉄史研究者、特に若い方々の参考にならないだろうか、その公開場所としては「鉄道フォーラム」が最適ではないだろうか、との結論に至りました。
 
「鉄道フォーラム」の伊藤博康さんにこの「停車場一覧」を見ていただき、幸いにも2025.04.30から 「鉄道フォーラム」 において、一般に公開できることになりました。
 
この公開後、益田彰久・石野 哲は、内容のバージョンアップを重ねていますが、このたび、「和久田本」の内容を2025年現在に補い、「和久田本」に掲載していない第3種鉄道・官設鉄道3種類等も追加し、誤りと思われる箇所も訂正した、私鉄会社名の現状リスト決定版(開始日~終了日付き)を作成いたしました。
 
このリストは日本語ですが、和久田康雄さんに倣い、次のような、並び順をいろいろ変えた英語版のリストのPDFをも作成し、公開することとしました。
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JAPANESE PRIVATE RAILWAY COMPANIES from 1882 to 2025 existed in history
* PRIVATE RAILWAY COMPANIES : ABC order
* Transport Bureau(Origin of "WAKUDABAN top 2 digits")
* PRIVATE RAILWAY COMPANIES : WAKUDABAN order with opening and closing dates
* PRIVATE RAILWAY COMPANIES : COMPANY-No. order with opening and closing dates
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これらのリストが、海外の鉄道ファンのお役に立てば、とても幸いに思います。
 
なお、このメッセージは、七拾六歳翁・石野 哲 が、謹んで記しております。
久し振りに、和久田康雄さんの「あとがき」の「著者の20歳代における余暇の大部分はこの私鉄ノート作成のために費された」を読んで、若き日に受けた衝撃を思い出し、これが自分の鉄道史研究の原点だと思い返しています。
 
今回の鉄道データの公開が、後世につながって行くことを、切に祈念するものです。
 
 
 
 
● 最新の公開内容については 「目 次」 をご覧ください。
 
● "Passionate Message to Railway Fans Overseas" (このメッセージの英語版)
 
● 「私鉄国鉄停車場一覧」公開に際しての まえがき
 
● 凡例・参考文献
 
● 「私鉄国鉄 停車場一覧(日付順)」のリスト
● 「私鉄国鉄 停車場一覧(内容別)」のリスト
 
● 買収私鉄一覧(「停車場一覧」対応済みの買収私鉄)
 
● 私鉄会社名のリスト 編集方針
 
● 運輸局へのリンク.html
 
 
 
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